『夏音』。

GLAYの『夏音』という曲が気になっています。気に入っているというより、気になっています。
話は、やっぱり、ツール・ド・北海道のことなんですが、今年のツール・ド・北海道ってプロローグから第4ステージまで、ずっと、ものすごい晴天に恵まれていたんですよね。それは、もう、泣きたくなるくらい晴れ渡っていて、9月だっていうのに夏の空みたいに真っ青で。そして、レースもとてもドラマチックで。
愛三工業盛一大(もりかずひろ)くんが2日間リーダーで、第2ステージでそれをバンの宮沢くんに奪われて…でも、このときは盛クンが奪われたというより、愛三のエース西谷泰治クンが正面から勝負に出て、結局ツキイチだった宮沢くんに破れたんです。西谷クンは自分のバカ正直なことに、ホントにがっかりしていて、見てるのも気の毒なくらい暗い顔して悔やんでたんですよ。でも、その夜、もう一度別府匠クンたちチームメイトと自分たちのスタンス・・・つまり、正面から戦おうということを確認して、翌日の第3ステージに臨んだわけです。十勝岳の一級山岳で匠クンが「脚のあるヤツだけついてこい!」って感じの全開の引きで集団を崩壊させると、平坦ではまたしても西谷クンが先頭を引きまくって・・・バカ正直の上塗りなんだけど、それでも、そういう戦い方をして勝つのでなければ意味がないって思ってたみたいで、力の続く限り先頭を引こうって決めてたみたいなんです。
そして、感動のゴールでは、いちばん引いていた西谷クンが先頭ですよ。それも、ぶっちぎりで。
今年、バカ正直西谷クンが総合優勝してくれて、私は自分の人生をちょっとだけ信じる気持ちになりました。信じることは、美しいことなんだとあらためて思いました。信じていかなくちゃって。
3年前、旭川ではじめて表彰台にたった西谷クンは、ホントに子供っぽくて、危なっかしい感じさえしたのに、今年、ふと気づくとすっかり大人びて、頼れるエースらしい風貌にちゃんとなってました。すごくステキでした。抜けるような青空が、精悍な姿によく似合ってました。
それで『夏音』を聴くと、今年のツールの感動がよみがえってきて、切ない気持ちになるんです。西谷クン匠クンの険しい表情や喜んでた表情のひとつひとつが浮かんできて、私を切なくさせるのです。
今年のツール・ド・北海道を見た方も、見られなかった方も、ぜひ『夏音』を聴いてみて下さい。