水を運ぶ。

きょう古新聞を片付けていて見つけた言葉「水を運ぶ」。
ひとつはサッカーの話で、オシム監督がよく「水を運ぶ選手」ということを口にするのだそうです。つまり、パスをつないだりフリーランニングでスペースを作ったりしてゴールまでのお膳立てをする選手ということらしいです。どうやら、ゴールは渇いていて、水がほしいようですね。
もうひとつは、映画監督・新藤兼人さんが亡くなった奥さん・乙羽信子さんの主演で撮った映画『裸の島』の話。不毛の島に船で届く水を、農民が黙々と畑に運ぶというセリフのない作品だそうで、1961年にモスクワ国際映画祭でグランプリを受賞しているそうです。
この映画の成功で新藤監督はいまも監督として生きていけてるといってもいいほどの出世作だそうです。乙羽さんが黙々と水を運ぶ農民を演じ、新藤さんを潤したというわけですね。
そこで思ったのですが、自転車も水を運ぶ人が大事ですよね。アシスト選手は直接ボトルを運んでなくても、逃げを決めたりつぶしたり、前を引いたりたまには背中を押したりして、エースを潤す役目をしているのですが、文字通り水を運んでいることも多くて、何か象徴的だなって思ったのでした。
渇いている人や物に水を運ぶ。必要とされる仕事を・・・たぶんあまり楽しそうとはいえない仕事をすることの大切さが、この「水を運ぶ」という短い言葉でぴったり表されていて、おもしろいなと思ったので書きとめてみました。